2018年05月31日 12:54  カテゴリ:子育てカテゴリ:勉強カテゴリ:

やる気を出せと言ってもやる気は出ない



「うちの子はいくら言ってもやる気にならなくて」とは、古今の親御さんを悩ませる永遠に古くて新しいテーマです。



ここで考えなければならないのは、生まれながらにしてやる気がない子はごく少数派だと言うことです。(生まれつきやる気のない子については別の機会にお話しします)。

以前のブログでもお話ししましたが、子供とはいえ生存本能は備わっていますので、勉強というものが、なんとなく将来を明るくするものだと感じていれば、子供は勉強を頑張ります。

それが証拠に小学校低学年の授業参観などに行きますと「この問題わかる人!」と先生が言えば「ハイハイはーい!」と挙手の嵐です。



あんなに楽しそうに勉強してたのに、それがなぜ勉強に背を向けるようになってしまったのか。

そこには理由があります。



学年が進めば問題の難易度が上がります。日増しに勉強は困難なものになります。

当然、ミスや「分からない」事が増えて来ます。その時に親御さんや学校の先生がどう対応したかで命運は別れます。

テストで悪い点を取ってきて、誰よりも悔しい思い悲しい思いをしているのは他ならぬ本人です。そうした時に親御さんや先生が叱責すれば、子供の傷は更に深くなってしまいます。

また意外かもしれませんが「次は頑張ろうね」と単に励ますだけというのも同罪です。



一番大切なのは、子の悔しさや悲しさをその時に分かってやれたかどうかです。

これが無ければやる気のある子にも強い子にもなれません。

テストを受ける。悪い点を取る。怒られる。この繰り返しで、ついに勉強は子供にとって「将来を明るくするもの」から「自分を苦しめるもの」になってしまいます。

この状態での頑張りはやがて子にとって限界を迎え、頑張れなくなる時が来ます。

力尽きてしまえば、やる気など出るはずがありません。

この事に思い当たる親御さんがおられても、当然ながらその時に遡って育て方をやり直す事は出来ません。

ですが今からでも出来る事はあります。



共感が全てに優先する

必要なのは叱責でも励ます事でもありません。

子供の心を理解して受け止めてやる事です。

「それは辛かったね」「悲しかったね」と共感してやる事が何より子の心を支え、強くします。

叱責は要りませんし、励ますのもその後です。

そうして子の心を充分に理解してやった上で、もう悲しい思いをしないでもすむように、具体的に方針を示してやりましょう。

漠然と勉強しろというのではなく、次によい点を取るためには、「教科書のこのページを復習しておこう」「次のテストはここが大切だから、ここを予習しておこう」など。

ただ、中学生ともなると親が指導できない問題も増えて来ます。

その時は、塾という選択肢があります。

塾にも、目的別にいろんな塾があります。

ほとんどの塾では体験授業制度や、方針の説明がありますので、いくつか回って、子供の心を大切にしてくれる塾を選んであげましょう。

お子さんと親御さんの明るい未来を応援します。













  
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2018年05月26日 11:44  カテゴリ:子育てカテゴリ:勉強カテゴリ:

泣かせてすまない、だがほんとなんだ



私は塾であまり社会を教えません。

例えば関ヶ原について教えるにも、1600年、東軍徳川家康、西軍豊臣勢石田三成、この三つの言葉をセットにして覚えなさい、で済ませて、次の項目に入っていかなければなりません。

が、これでは歴史を教えた事にはなりません。

関ヶ原一連の人々の苦心惨憺と、それらによって今の日本がこうなっているという所まで教えて始めて歴史です。

こういう講義をすると塾生も目を輝かせて聞き入りますが、いかんせんテストには先の三つのワードしか出ません。

何コマも費やして少しの点しか得させてやれないのでは、断腸の思いでそこはさらっと流すしかありません。

塾の機能の限界です。

しかしながら、「先生どうしても社会を教えてください」というのでやむを得ず社会を扱う事になりました。

地理の「世界からみた日本」という単元でした。

ここは、提示された資料を読み解いていくと、なぜ今しっかり勉強しておかなければならないかが実感として分かるところです。

なのでつい、ほんとについ、用語の解説と資料の読み取り方に終始するつもりだったのですが、解説しているうちに、するつもりは無かった講義をしてしまいました。

ここで習う人口統計図一つとっても、世界のどこもまだ経験した事のない危機を日本が迎えている事が分かります。

だから、若い君達は、今本当に頑張って身につけられるだけの知識を詰め込んで、さらにそれを活かしていく努力をしていかなければならない。

君達が社会の中心になる30年から40年後には、もっと大変な事になっている。だから今、多少は気に入らない部分が有っても、学校で教えてくれる事を大切に身につけていくんだよ。

と、講義を結びました。塾生は目からウロコのような表情をしておりました。

私も塾生達の成長をいつまでも見ていたい、そばにいて助けてやりたいと思うのですが、それは叶わぬ事と、つい寂しくなり、こぼした一言は、しかしどうやら良く無かったですね。

「だから君達、君達が社会の責任を担う時代が来ても、どうか自分達で負けずに頑張っていくんだよ。先生は、その頃には多分生きてついていてやる事が出来ないから」

つい言ってしまった途端、

「先生がいなくなるなんて絶対嫌です」

と泣かれてしまいました。

不用意な事を言ったのは謝る。

だが、本当なんだ。

だから今、私のもとで、私から学べるだけ学んでいっておくれ。
















  
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2018年05月25日 19:03  

自分を追い詰める子へ



このアイコンを使った時は、真面目に書いていますので、長く暗く固いのですが、最後までお読みくだされば幸いです。

自分で自分を追い詰める子





理想を高く掲げる事は本来、良い事です。

しかし現実のその子の能力、体力では到達不可能な、高すぎる理想を掲げてしまう子に出くわす事が有ります。

そうした子は、多くの場合、理想に届かない自分は存在価値が無いとでも言わんばかりに自分で自分を追い詰めて、挙句に心身の調子を崩してしまいます。

かくして、理想はさらに遠のきます。

そして理想に届かない自分を激しく責め、疲れ果ててて無気力な人間になります。




小さい階段を登れ


こうした子にかけてやるのに一番良い言葉は何だろうと常々考えておりましたが、今ひらめきました。

ハンデを負った子供達の指導によく用いられる概念に「スモールステップ」というものがあります。

読んで字のごとく小さな階段です。

小さな階段なら登れます。

そして小さな階段でも、一つ一つ登っていけば、やがては遥かな高みに着けます。

逆に、高すぎる階段を登ろうとすれば、登れずにいつまでもその場所で苦しみ続けるだけになります。

これは考えるまでも無く健常者にも当てはまる事でした。




「理想を達成したければ、小さな階段を登れ。そのかわりどこまでも。」

これなら理想を下げろと言わずに、その子の現実の力と向き合わせてやれる。

現実の力と向き合えれば、頑張れば超えられる壁に向かわせてやれる。

その達成感を繰り返し繰り返し味あわせてやれれば、その子を変えられるかもしれない。

さっそく明日、言ってやろうと思います。



















  
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2018年05月24日 19:26  

さえない日記?ブログ

タイトルで警告させて頂いた通り、とにかく今回のブログはさえない。

さえない事請け合い!

そのタイトルは

PIPOを巡って大冒険


今月のPIPOに、高名なFPの先生の奨学金の記事が載るというので、ちょっと教室を抜け出してPIPOをゲットしに!

ところで、ちょっと待て! PIPOって、何処行きゃ手に入るんだ? だいたい何て読みゃいいんだ? そもそも何だ?

仕方ないのでアルファベット入力で検索。編集部へ電話。

「はい、ピポ編集部です」

そうか、ピポと読むのか。

「岡崎市では何処で手に入りますか?」と丁重に尋ねると、「アピタのサービスカウンターにありますよ♪」との事。

アピタか、、、

ゼネラルスーパーマーケットじゃないか、

俺はああいうところに入ると出て来られなくなるんだ、、、

嫁にお使いを頼まれて何度迷子になった事か。

しかし、この先も奨学金が必要な塾生は必ず現れる。手に入れて保管をしておかねば。

その子らの為に俺は頑張るんだ、

行くぞアピタへ、たとえもう二度と帰れなくなったとしても、

迷宮を超えて




そしてピポは有った


どさくさに紛れてスコーンまで買ってやった

俺にしては凄い成果だ

教え子への想いが、この大冒険を成し遂げさせてくれた。

さあ、早く帰ろう、教え子の待つ教室へ。

最後まで読んでしまったみなさん、

本当にどうも申し訳ありませんでした。

お詫びにお得情報を


  
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2018年05月23日 19:57  

アイスもらって泣けてくる



授業前に塾生の家に立ち寄りましたら、その子のお兄さんが出てきてアイスをくれました。



アイスをくれた子も、かつて塾生でした。

必死こいて教えて腕によりをかけ手塩にもかけ、途中何度も有った危機を共に乗り越えた塾生が、今や立派に社会人になって、「先生頑張ってね」とアイスくれた。

ほんとは今から授業なのに、涙をどうごまかそうか。























  
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2018年05月23日 06:33  カテゴリ:子育てカテゴリ:勉強カテゴリ:

子供のモチベーションを上げなければならない時と上げてはならない時



長い! 暗い! 固い!でおなじみの仲川学院のブログです。

開いてしまった方、ごめんなさい。

今日も長く暗く固くいきますが、お付き合いください。

それにしても、たくさんの方に読んで頂けて有難いのですが、いつも頑張って書いているブログと、昨日の昼間にほんの三分で投稿したブログのPv数が同じとは、、、

うーん、ブログ恐るべし。奥が深い。

それはおいといて本題です


子供の指導に携わっておりますと、常に首題の問題に直面します。

子供のモチベーションは上がったり下がったり、それこそ乱高下します。

上がっている時はそのまま盛り立ててやればいいのですが、下がってしまった時には、ある種の慎重さが必要になります。

怪我や故障を抱えた人間に無理をさせれば事態は悪化していくように、モチベーションを上げる事を強要する事が、長期に渡るモチベーション低下につながる恐れがあるからです。




理解が全てに優先する


悩みがあるのかもしれない。心身を患っているのかもしれない。

そうした洞察無しに、むやみに子供を鼓舞したり励ませば、その大人から子供は離れていきます。

なので、今、現実のその子の状態の理解が最優先です。

「先生が自分の悩みを分かってくれた」「苦しみを理解してくれた」という実感は、それだけで子供の心を強く支えます。

その上で「しかし、」と言って諭す時、子供はそれを受け入れます。

そして今が勝負の時で無いのなら、そのままもう疲れ果てた子供は休ませてやりましょう。

回復を待つ事は非常に忍耐と勇気を必要としますが、我々もそれに耐えましょう。

そして子供の回復を待って、モチベーションの高揚を図りましょう。

モチベーションを上げるには





何のために今の苦しみに耐えさせられているのかを理解させ、それに納得した時、子供は驚くほどの底力を発揮します。

「頑張っておくと、将来が明るくなるから」という漠然とした言い方ではダメです。

我々の場合で言うなら、「今この問題を」「いつまでに」「どの程度」やれば、テストで「どのくらいの」得点が見込める、

と言うように、専門家らしく、努力する「内容」と「量」、そして「見込まれる成果」をはっきりと示してやる事が必要になります。

それが子供の目的なり目標と合致していれば、子供は意欲を持ってそれに取り組みます。

苦しみの意味が明確になっている時、子供は苦しみに耐えていけますし、また、立ち向かっていけます。

区別をつけておかなければならない事


しかしながら子供の心を大切にする事と、子供を甘やかす事は全く違います。

はっきりと間違いなく「やむを得ない意欲の低下」、すなわちモチベーションダウンではなく、甘えや逃げだと分かる場合には、毅然と対応し、叱るべきは叱りましょう。

それは子供の人生を大切にしてやる事です。  
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2018年05月22日 13:40  

すいません

タイトルでも謝っております通り、開いてしまった方、どうもすいません。

次回からまた真面目に書きますから、今回だけお許しください。

コメダ珈琲の飴、岡崎市内のセブンイレブンで売ってました!



(店員さんのご好意で撮影)

え、だからどうしたのって?

いや、それだけです。

ほんとにどうもすいません。

次回、また真面目なブログにご期待下さい!

え、別に期待してない?

重ねがさねすいません。  
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Posted by 仲川学院 │コメント(2)

2018年05月22日 07:38  カテゴリ:子育てカテゴリ:勉強カテゴリ:

よくしゃべる人見知り




「よくしゃべる人見知り」

何かの冗談のようですが、こういう人は本当にいます。

初対面の人とも仲良しさんとも、とにかく同じテンションで、ものすごく楽しげに会話します。

で、その子が
「私、実は人見知りで、、、」
と本音を言うと、必ず
「嘘をつけ」
という反応しか返って来ません。

その子の苦しみは誰にも分かってもらえません。




私が今まで相談を受けた中では、人と会うと緊張するので黙ってしまう子より、緊張するからこそ逆に喋りまくってしまう子の方が深刻な状況におちいってしまうことのほうが多かったです。

当たり前です。

ひどい緊張状態に在るのに、相手をよろこばせるため、あるいは場を盛り上げるために、何とか話題を見つけ出し、必死に会話を繋げて、時にはおどけてみせる。

痛ましいまでの頑張りです。

日常の中でこれほどの無理を続けていては、必ずどこかに破綻が出ます。

疲れが取れない。眠れない。起きれない。胃や腸、あるいは体のどこかがいつも痛い。勉強しようと本気で思っているのに手をつけられないなど。

思い当たる人は、自分がどんな時に一番疲れるのかを総点検してみましょう。

また、気持ちが落ち込むのは、どんな事の後なのか、よく思い出してみましょう。

そういう状況を、まず避けましょう。

次に頑張らなくてはならない事と、頑張った方が良い事に分けてみましょう。




そして「頑張ったほうが良い事」に分類した事は、

今はもう、それらを頑張る事はやめましょう。

かなりの勇気を必要としますが、これができると本当に楽になれます。

その結果、頑張らなくてはならない事に集中できるようになります。

努力を継続できる人と言うのは、そうした分類と取捨選択が本能的に身についている人です。

思うように努力を継続できないのは、あなたの意思が弱いからではないかもしれません。

自分でも気づけない想像以上のプレッシャーを、自分自身に強いているからなのかもしれません。

ありとあらゆる事に頑張る事は、人間にはできない事です。

間違いなく自分のパフォーマンスを下げます。


自分を甘やかす事は良くありませんが、自分にあたたかい目を向け、自分を許してやる事が、あなたを成長させる事もあります。

















  
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Posted by 仲川学院 │コメント(0)

2018年05月21日 14:47  

ちょっと休憩




今、城北中、豊野高校合同のテスト対策講座中ですが、

大家さんが手入れしてくださっている、教室前の花が咲いて来ましたので、つい皆さんにも見ていただきたくなり投稿しました。





では、テスト対策講座頑張ります!


  
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2018年05月21日 10:16  カテゴリ:子育てカテゴリ:勉強カテゴリ:

逆境受験を突破した鋼鉄の意地



少し思い立ちまして今回は創業当時の思い出話をさせていただきます。いつにも増して長文ブログになりますが、どうぞお付き合いください。

主人公はかつての塾生です。名前はA君としておきます。

思い出深くない塾生は一人もおりませんが、今日は彼を取り上げます。大人しそうな外見からは想像もつかない鋼鉄の意地を持った男でした。

入塾説明会参加者0名


私たちの塾は創業当初、入塾説明会参加者0名から始まりました。

今考えると当たり前です。

無名の個人塾に入ろうなどという酔狂な受験生などいるはずがありません。

「独立開業はやめてどこかにまた勤めようか」と真剣に悩みました。

しかし独立前に勤めていた塾で教えて来たK君が、たった一人、私たちの塾の戸を叩いてくれました。K君は不登校でしたが、「仲川先生でなければいやです」と言って前の塾を辞めてまで来てくれました。

私は「たった一人でも、そこまでして来てくれた生徒がいるならやる」。そう決意して塾をスタートさせました。

ところがそうこうするうち、私が独立開業したという噂を聞きつけたかつての教え子達が、一人また一人と私たちの塾に入塾してきてくれ、その数はたちまちに20人を超えました。

その数もさることながら、私が心底意外だったのは、前の塾を辞めてまで来てくれたのは、私が可愛がっていた生徒ではなく、私にしょっちゅう怒鳴り飛ばされていた生徒達だった事です。

その子らの将来を考えて真剣に接していた姿勢は伝わっていたのだなあと、本当に嬉しく思いました。

お前に高校は無理と学校から言われていたやんちゃ少年に、勉強はイマイチのスポーツ野郎、大変賑やかな塾になりました。

A君の入塾


A君も以前の塾での生徒の一人でした。A君は受験生なのに前の塾もやめた上、学校でも上手くいっておらず、悪い噂ばかり聞いていたので密かに心を痛めておりました。

ですが夏休み直前、改心したのでしょう、「先生と頑張らせてください。僕をB高校へ入れてください」と、私たちのもとへ来てくれました。

B高校は進学校です。そしてA君の成績は下がりきっていました。あまりに無謀な挑戦です。

しかし「無理だからやめた方が良い。志望校を下げよう」などと言えば、せっかくA君が立ち直ろうとしている気持ちそのものを潰してしまうことになります。

それだけは死んでも嫌だったのと、A君は芯の強い男です。無謀な挑戦でも、努力の総量がそれに見合ったものであれば、無謀はいつしか無謀では無くなります。

私はそこにかけてみようと思いました。

「俺と一緒にB高校を目指そう」

私たちはA君を受け入れました。

それでも僕はB高校を受ける


A君は遅まきながら受験勉強を始めました。学校や周囲からいくら「無理だ」と言われても、耳を貸さず、黙々と努力を続けました。

以前のブログにも書きましたが、私自身の受験の時とほぼ同じ状況です。それがどれほどつらいものか、身をもって私には分かります。A君の指導にも熱が入りました。

A君の成績は本当に上がったものの、一学期の不振が響いて、ついに三学期の確定内申点は、B高校のボーダーを大きく下回ってしまいました。

学校からも志望校変更を強く求められました。

しかしそれでもA君は言いました。

「僕はB高校へ入りたい。B高校を受けます」と。

私は素晴らしい生徒に出会えたと、心底嬉しくなりました。鋼鉄の意地を持った生徒には、そう何度も出会えるものではありません。

私はお母さんにその旨をよく話し、A君の気持ちも伝え、学校の最後の三者面談の場でB高校受験で押し切ってもらうようお願いしました。

大誤算


私はA君の確定内申から、当日点を何点取れば逆転合格できるか計算して目標点を割り出し、そこへ向けてA君の指導を続けました。

A君の努力の甲斐あって、何とか当日間際には、目標点数が取れそうな見通しが立ってきました。

私もA君も心が沸き立ちました。

しかし、当日試験終了後、自己採点を終えたA君から電話がかかってきました。

「先生、目標点、取れませんでした。あんなに一生懸命教えてくれたのに、ごめんなさい」

最後の最後に最後まで


私は絶句しました。あんなに頑張っていたのに。あんなに入りたがっていたのに。

「残念だったな」とはどうしてもいう気になれませんでした。「まあ何がどうなるか分からんので、合格発表までは希望を持とう」などという無責任な事を言うのも、死んでも嫌でした。

せっかく俺を頼って来てくれたのに。ひたすら努力した男なのに。

私はまだ出来ることを必死に考えました。

ある!

打てる手はまだある!

明日まだ面接があるじゃないか。

一般受験では面接は合否にほとんど関係しないと言われますが、合否に全く関係がないのなら面接試験などするはずが無い。

学業不振への反省を素直に伝え、挽回するためにどれほど頑張ったか、そして入学後に頑張りたい意思と、何よりも、どれほどB高校に入りたかったか、

それらを面接官に余すところなく伝え、これからお世話になる高校の先生達に「こいつを教えてみたい」と思わせれば、まだ合格の可能性は残るのではないか。

そう考えた私は、A君の母親にその旨を話しA君を自宅に呼んで面接の特訓を開始しました。

「明日は面接試験の当日だが、もうそんな事は言っとれん。徹夜になるが覚悟しろ」

そう言い放った私に、A君は力強く頷きました。

特訓を終え、A君を、身支度をさせるために自宅に送って行く頃には、もう夜が明けていました。A君は文字通り徹夜で面接に挑む事になりました。

合格発表当日


嬉しい知らせが、私のもとに続々と寄せられてきました。高校は無理と言われたやんちゃ坊主も、不登校を乗り越えたK君も、みんな受かりました。

しかしA君からはまだでした。

A君に電話するのに、正直抵抗が大きかったです。

しかし確認しないわけにはいきません。

A君に電話しました。何故かお母さんが出ました。

A君は受かっていました。泣けて上手く電話できなかったそうです。

この時ほど、俺は間違ってなかった、独立して良かったと思えた瞬間はありませんでした。

ただ、同じ日の夜、かわいそうに、どこにも相談する所がなかったのでしょう。前の塾の生徒から「先生、高校ダメでした。これからどうしたらいいんですか」という電話が数本入ったのは、何より悲しいことでした。  
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