「銀木犀の花は甘い香りで、白く小さな星の形をしている。そして雪が降るように音もなく落ちてくる。」
安東みきえ著 『星の花の降るころに』冒頭
さて本日、不登校から定時制高校を受験する塾生の為の最後の授業を行いました。
その為の教材に、この小説を選びました。
あらすじは、あえては紹介致しません。
古い葉を落とし、新しい葉を生やす事で生きて行く常緑樹をモチーフに、友との決別を受け入れ、成長を遂げようとする思春期の主人公の哀切を描いた物語です。
私のもとで学んだ子供達、
辛く苦しかった中学生活を、常緑樹の落とす古い葉のように捨て去り、たとえ怖くとも、これから君たちを待っている高校での生活に飛び込んで、どうか新しい成長の葉を生やす勇気を持っておくれ。
幸せになるには、勇気が要るよ。
人が生きて行くと言う事は、何かを失って行く事だと先生は思う。
生きて行くと、本当に多くのものを失う。失う事ばかりだ。
どんなにか生きていて欲しいと願った人が、この世を去って行く事さえある。
それと引き換えに、与えられるものは、本当にごくわずかなものだ。
自分からつかみ取りに行かなければ、得られるものはほとんど無い。
大人になればなるほどそうだ。
でも生きていこう。
得られるものはある。そしてそれは時として失ったもの以上に大きい。
今までの事はもういい。振り返る事もやめよう。後悔する必要もない。
古い自分は捨てて、成長する選択をしよう。
その先にしか、幸せも喜びもないよ。
受験が、その為のきっかけになってくれる事を心から願う。
それに気付いて欲しくて、今日の授業をしたよ。
このくらいしかできないが、どうか幸せになっておくれ、
子供達、